2014年8月31日日曜日

8月31日

8/31、今日は松明かし最終日ですね。

宮古では盆棚(施餓鬼棚、施食棚、精霊棚とも呼ばれます)の上部に栗の木を飾ります。
民俗学者・柳田國男氏によれば、
「栗という漢字は西の木と書く。西の方角には何があるかといえば西方浄土がある。
故人が浄土に無事にいけるようにという願いが込められている」のだとか。

東北には鹿踊り(ししおどり)という民俗芸能があります。
宮古にも多くの鹿踊り団体が存在します。踊りには先祖供養の意味があると言われています。

岩手出身の童話作家・宮沢賢治氏の著作に「鹿踊りのはじまり」という作品があります。


この作品は賛否両論あります。
「全くの創作で、"はじまり"と冠している割に鹿踊り本来の先祖供養の要素が入っていない」
「宮沢賢治は無知で、鹿踊りをただの踊りと思っていたようだ」と。

確かに全くと言っていいほど先祖とか霊とかの要素はありません。
しかし、上記の柳田氏の話を踏まえて読むと、宮沢賢治氏が本当に描こうとしていた物語が見えてきます。
登場人物の男性は物語冒頭で栗の木から落ちます。そして最後、男性は「西の方へ歩きはじめたのです」で終わります。

この主人公は生きている人間ではないように思います。
西方浄土への道しるべとして手向けられた栗から落ちてしまう、落ちたところで偶然にも鹿達が舞い踊る姿を見る。
その後、西の方へ歩き始める(再度、浄土へ向かう)。そんなストーリーのように思います。

宮沢賢治氏は熱心な法華経信者だったそうです。

どっとはらい。

2014年8月30日土曜日

8月20日

8/20、宮古は松明かしですね。

関西では今週の土日、もしくは来週の土日に"地蔵盆"を行うところも多いのではないでしょうか?

wikiediaによると、
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地蔵盆(じぞうぼん)は、地蔵菩薩の縁日(毎月24日)であり、なおかつお盆の期間中でもある旧暦7月24日に向け、その前日の宵縁日を中心とした3日間の期間を指し、またそのうちの日を選んで行われる地蔵菩薩の祭のことをいう。地蔵盆は一般には寺院に祀られている地蔵菩薩を対象とした祭りではなく、道祖神信仰と結びついた路傍あるいは街角(辻)の地蔵が対象となっている。
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とのこと。
一体何をするのか?
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地蔵のある町内の人々がこの日にかけて地蔵の像を洗い清めて新しい前垂れを着せ、化粧をするなどして飾り付けて、地蔵の前に集って灯籠を立てたり供え物をしたりして祀る。地蔵盆の前後には、地蔵の据えられる家や祠の周囲などに、地蔵盆独特の提灯が多く飾られる。京都では子供が生まれると、その子の名前を書いた提灯を奉納する風習がある。おおむね女子は赤、男子は白で、その子が地蔵盆に参加しているあいだは、毎年飾られる。そして巨大な数珠を回す。

とのこと。
町内会、子供会のお楽しみ会のような雰囲気で行われているのを京都や大阪ではよく目にします。

子供が主役の行事です。
なぜ子供が主役か?→お地蔵さんは子供を見守ってくれている存在だから。
地蔵はなぜ辻や町内の外れにあるのか?→昔、子供が死んだときはその町の外れに埋めていたから。
そもそも地蔵とはなんなのか?道祖神信仰?地蔵菩薩?閻魔様の現世のお姿?

地蔵盆はいつからやっているのか?

滝沢馬琴が「覇旅漫録」で記している。江戸時代初期頃から行われているのではないか?と推測される。
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/E0026916


起源や由来はわからない。

・・・。

「盆」とつく行事のほとんどが謎だらけですね。

どっとはらい。

※写真は宝塚の地蔵盆の様子です。




8月16日

8/16、宮古は松明かしですね。

8/16はお盆最終日、送り盆の日です。
日本各地で様々な風習がありますが、なかでも有名なのは京都の「五山の送り火」ではないでしょうか?
映画「波あとの明かし」は京都2カ所で上映しました。その際、「五山の送り火も松を燃やす、何か関係があるかもしれないですね」という声をいただきました。

五山の送り火を「悠久から続く、由緒正しい歴史ある行事」と思っていたのですが、起源などははっきりわかっていないそうです。

一番古い記録としては、慶長8年(1603)、公家舟橋秀賢の日記『慶長日件録』の7月16日条、

「晩に及び冷泉亭に行く、山々灯を焼く、見物に東河原に出でおわんぬ」

という記述だそうです。「山々灯を焼く」とあるのが鴨の河原から見られる大文字などの送り火であったと考えられています。

これはどういう史料かというと、とある公家の方が日記に「料亭に出かける途中、大文字の送り火を見かける。ちょっと見物に河原にでるか」と書いていたというもの。これが五山の送り火の最古の史料となるので、1603年には既に行われていたことになります。起源や意味についてはっきりと記している史料は無いそうです。

五山の送り火のような有名な行事が、意味も起源もわかっていないというのは驚きです。

どっとはらい

8月15日

8/15、宮古は松明かしですね。

小本では一晩に5カ所で松明かしをする家があるそうです。

玄関前に3つと、井戸の前と便所の前。
玄関前の3つは昨日書いた三界万霊かと思います。

井戸と便所は?

お盆期間中はご先祖、仏さんの霊が帰ってきます。と、同時によくない霊、縁のない霊。つまり、無縁仏や三界万霊もあの世からこの世に入ってきます。その際、入口として井戸や便所などの水のある場所が通路になると考えられていました。

京都のお盆といえば六道珍皇寺さんの六道参りです。小野篁(おののたかむら)氏が冥界と現世を行き来する際は、六道珍皇寺にある井戸を通路として使っていたとされています。井戸は冥界の入口という意味があるようです。

松明かしはご先祖の霊が帰ってきやすいようにと、目印の意味と考えられていますが、井戸や便所の前の松明かしは全く別の意味を持っていると考えられます。無縁仏への供養、功徳の意味が強いと考えます。

玄関前の3つが三界万霊への供養、井戸と便所の火が無縁仏用。
あれ?ご先祖様用の火は・・・?

玄関前の3つには三界万霊以外にも別の意味がありそうです。

どっとはらい。

8月14日

8/14、宮古は松明かしですね。

宮古の白浜では松明かしを一晩に3つ焚くそうです。
玄関の前で焚き火を3つ並べる。なぜ、3つなのでしょうか?

お盆は先祖の霊をお迎えすると同時に、無縁仏への供養が行われます。

無縁仏のことを三界万霊とも呼ぶようです。

三界とは?
一つ目は「欲界」(よっかい)
・あらゆる欲望や目に見える形に囚われた世界(現在の我々の世界もこの一部)。
二つ目が「色界」(しきかい)
・欲望は無いが、目に見える形、物質に支配された世界。
三つ目が「無色界」(むしきかい)
・沃欲や物質を超越した精神世界だが、未だ完全な悟りではない世界。

その三界すべてのことを三界万霊と呼ぶ。三界万霊とは無縁仏と同義語のようです。
地域によって呼び名は様々です。

・南九州ではフケジョロ(外精霊)、ウケジョロ(浮精霊),ホカドン(外殿),トモドン(供殿)など
・紀ノ川ではお客ボトケ
・兵庫県宍粟郡ではショウロサン(精霊様)
・岐阜県加茂郡では一切精霊様
・壱岐ではサンゲバンゲ(三界万霊)

お盆に松明かしを三つするというのは、三界のすべてに対する供養の意味があるのではないか、と考えます。

どっとはらい。

2014年8月29日金曜日

祝!みやこハーバーラジオ開局1周年!

祝!みやこハーバーラジオ開局1周年!おめでとうございます!

記念すべきスペシャルウィークに出演させていただきました。

というか智子さんに無理矢理ねじ込んでいただきました。

映画「波あとの明かし」の話をさせていただきました。が、何を話したか覚えていません。

生放送に緊張しすぎて、余裕の無い顔。





2014年8月16日土曜日

8月13日


8/13、宮古は松明かしですね。

磯鶏で聞いた話では墓前で松明かしをする際、2つ松明かしをするそうです。
2つの松明かしの間を、故人の霊が通るそうです。霊の通る道をつくり、迎え、送るそうです。
(この場合、墓に送るのだろうか?天へ送るのだろうか?霊はどっち向きなんだろうか?)
門松ならぬ、門松明かしといったところでしょうか。

門松には地域によって色々な形、意味があって、一概に「門松とは何か」を語ることは不可能です。
お盆と正月の関係性については以下の動画をご覧いただきたく思います。

さて、宮古の場合、年末に家の部屋という部屋に松を飾ります。正しくはそれぞれの部屋の「門」に松を飾ります。
台所、居間、客間、寝室、便所、風呂。
お盆に松を明かし、正月に松を飾る宮古。松にはどんな意味があるのでしょうか?
民俗学者・折口信夫氏は著書「門松のはなし」のなかで、
「松を迎えることは、分霊を迎える事で、松は即、その霊ののりものだつたのです。」
と書いています。
上記は松の葉の話なので、薪となった松にもそのような意味があるかは定かではないですが。。。

どっとはらい。



2014年8月7日木曜日

七日盆

8/7、宮古は松明かしの日ですね。

東北ではこの日に多くの風習があります。

・ナヌカビ、ナヌカボン、七日盆【東北6県すべて】
・墓地の草取り、清掃、墓払い、【東北6県すべて】
・「七回水浴びして、七回飯をたべる」【青森、岩手、宮城、秋田、山形】
・七夕踊り【宮城】
・迎え火、「ショウライタチ、ショウライタチ、この火の明かりでジッコもバッコも来とな来とな」と、墓に火をかざす【秋田】
・女性は七回髪を洗う【山形】
・早朝に墓参り【山形】
・カマブチツイタチ【福島】
・新仏の家では高灯籠を立てる【福島】

8/7にはどういう意味があるのか?(旧暦、新暦に関して省く)

初七日法要というものがあります。
仏さんはこの世を旅立ち、あの世へ向かいます。この世からあの世まで徒歩で七日間かかるそうです。逆も然り。
あの世の入口に着いたその日に行う法要が、初七日法要です。

霊が帰ってくるお盆。宮古はお墓参りを8/14にします。
七日前の日、つまり8/7は霊があの世を出発し、この世に向かう日に相当します。
ですので、東北6県すべてに墓掃除の風習があります。お墓をきれいにしておいて、霊が気持ちよく帰って来れるように、という心遣いから生まれた風習かと思います。

どっとはらい。

2014年8月2日土曜日

8月1日

8/1、宮古は松明かしの日ですね。

8/1は八月朔日といい、略して八朔(はっさく)と呼ばれます。
八朔の頃、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからあったそうです。このことから、田の実の節句ともよびます。この「たのみ」を「頼み」にかけ、武家や公家の間でも、日頃お世話になっている(頼み合っている)人に、その恩を感謝する意味で贈り物をするようになったそうです。

宮古ではお盆がある月の始めの日、という意味で8/1に松明かしをするそうです。

岩手を含めた東北6県ではお盆をどのように過ごしているか、またどのような風習があるのか。
興味深い資料があったので引用します。

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8/1 松明かしをする、お盆の始まりを表す【岩手】
8/7 七回水浴びをして、七回飯(うどん)を食べる【青森】
8/13 墓参りの際、共同墓地(ラント)で持ち寄った重箱を開いて先祖とともに食べる【秋田】
8/13 夜、「ハカムシリ」の習俗、墓に供えたお供え物を子どもが持っていく【秋田】
8/14 早朝、墓参り【岩手】
8/15 午後、墓参り【岩手】(8/14と15は岩手以外は基本的に何もしない)
8/16 仏壇に供えたダンゴを送り火とともに焼く。【山形】
   盆棚、お供え物を川に流す【青森、岩手、宮城、秋田、福島
8/20 オワリ盆(送り火)【宮城】
8/23以降 庄内地方では死霊がモリの山に集まるので参詣にいく(施餓鬼供養)【山形】
8/24 うら盆【山形】
8/31 ミソカ盆【岩手】
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